114 2003.09.12-15 ★★ 槍ヶ岳 北鎌尾根コース縦走 ★★
【山行メモ〜ある遭難事故〜】のページ

注意 此の頁は、公開に辺り極めて複雑な感情が巡りました。個人的な御指摘等は、真摯に対応致しますが、中傷・その他については、謹んでご遠慮申し上げます。

【決意表明】此の頁の内容については、真実とは異なり編集者(西さん)の主幹に基づき編集されている事を此処に宣言し、無用の混乱を未然に排除する旨、ご覧の皆様にお伝え致します。

・・・。
9月12日(金) 中房温泉町営第一駐車場から合戦尾根を途中で二つのパーティを追い越す。第二ベンチで休憩、追い抜いた一パーティが直に追いついて小休止する。
合戦尾根を登る間、第一ベンチを過ぎて第二ベンチの途中で3人組を追い越した。最初の休憩地の第二ベンチに到着し、小休止していると、程なく3人組が到着した。
 聞けば、山口県宇部市から来たと言っていた。女性だけの3人組で、祝:海の日の延岡4人組を思い浮かべる。ザックにヘルメットがぶら下がり、テント泊の様子に「何処ですか?」と尋ねた。
「北鎌です!」と、力強い応答。
詳しく尋ねると以下の通りだった。
・表銀座は、経験済みだった
・北鎌尾根は、初めてだった!
・一日目、貧乏沢下降点まで行こうと云う気概が感じられた。
・・・しかし、以降の彼女たちの動向を見る限り、計画に無理が感じられた!!
我々は、彼女達に初めてあった第二ベンチから、合戦尾根を辿り合戦小屋に到着する。
此処で、スイカの美味い事、一つを頼んで半分づつ頬張った。渇いた喉に効果覿面だった。
さて、貧乏沢下流、天上沢出合を目指す3人組は?と、気掛かりであるが合流する気配は無かった。
我々は、程なく合戦小屋を出立し、燕山荘を目指す。燕山荘では昼食をとる予定でユックリと休んだ。
台風の影響を考慮して、3連休前にしては少ない登山客の中、やたらとヘルメットが目立つ。
隣接するパーティに声を掛けると「北鎌」との答えが還ってきた。
大休止も予定通り終了し、本日目的地の大天井ヒュッテを目指すべき出発する。
我々の計画は、この日は、無理せず最小限のルートを辿り、早々と宿泊小屋に到着し、昼寝に高じる予定。
後続の3人組は、燕山荘大休止時も伺えなかった。
14時過ぎに大天井ヒュッテに到着し、ユックリとくつろいだ。昼寝も出来た。
昼寝している間に、俄雨が降って、雷やらで大変だった様子だ。
3人組は、この日この小屋を通過した形跡は、認められなかった。
さて、翌日早朝に小屋を出立し北鎌尾根を無事に踏破した我々は、初めての尾根、東鎌尾根を辿り帰路に就く。
気になる3人組と再会するのは、東鎌尾根を辿る中、水俣乗越であった。
空身で息堰きながら登り返してくる女性がいた。3人組の一人、中でも一番大柄で一番若い女性だった。
再会の挨拶を行い、お互いの成功を確認しあった。
彼女たちは、結局、北鎌尾根は諦め、エスケープし水俣乗越に至ったとの事だった。
その後、水俣乗越に至り、リーダーらしき女性に再会する。
先の女性と同じ様に情報交換した。
彼女の周りに、彼女を取り巻く人達が居た。
しかし、3人目の女性の姿が見えなかった。
何となく慌ただしい雰囲気の中、非常事態を知った。
3人目の女性が、滑落したらしい。
二人は、慌てて水俣乗越に登り、救助を求める為、其処を通る登山者達に声を掛けたり、携帯電話を借りたりしていた。
そんな中、プロガイドのパーティが通り掛かり、そのガイド渡辺某かの氏が警察へ連絡してくれた。
この時、混乱の中確認できた事項は、以下の通りであった。
@1日目の行動は、大天荘テント場で宿泊。
A2日目、貧乏沢を降り、北鎌沢の遡行は、左俣を辿った由。
B左俣上部は、雪渓有りと困難な為、撤退。北鎌沢出合に戻り宿泊した模様。
C出合での泊時、6パーティ程有り、色んな情報を得た(らしい?)。
D北鎌沢出合からのエスケープルートとして、水俣乗越も有力である(安全性、容易性など)と、情報を得る。
彼女達とは、中房温泉手前の町営駐車場で初めて会った。
山口県宇部市から、自家用車を駆使しやって来ていた。
駐車場到着は、我々の方が早かったのだが、ダラダラしている間に出立は、3人組に先を越されていた。
彼女達も帰路は、中房温泉の町営駐車場を予定していたらしい。
その為、たとえエスケープするとしても中房温泉に通じるルートを選択したらしい。
その結果、貧乏沢登りを選択せず、水俣乗越遡行を選択したとの事だった。
最期になったが、故人のご冥福を心からお祈り申し上げます。合掌。

再会を果たせなかった3人目の女性の遭難記事は、以下のページを参照されたい。
http://www.shinmai.co.jp/news/2003/09/15/digest.htm
http://www.sankei.co.jp/news/030914/0914sha112.htm
内容は、以下の通り。
☆北アで女性が500メートル転落、死亡
 14日午後1時半ごろ、北アルプス槍ケ岳東鎌尾根の通称「水俣乗越」にいた登山者から「仲間が転落した」と大町署に通報があった。同署の調べによると、転落したのは山口県下関市の無職稲田静代さん(56)で、午後2時半すぎに県警ヘリコプターに収容したが、頭の骨を折るなどして既に死亡していた。 稲田さんは仲間2人と槍ケ岳登山の途中、つかんだ木が根元から抜けたためバランスを崩し、約500メートル下に転落したという。

【考察】
@敢えて北鎌尾根縦走中の宿泊を考慮し、テントを持参していたが、女性だけのパーティで無理はなかったのか?
A1日目の行動を貧乏沢下流に求めていたが、その計画自体に無理は無かったのか?
B北鎌沢からの北鎌のコル遡行時、何故、左俣を辿ったのか?
C北鎌沢出合からの撤退に際し、貧乏沢遡行を選択せず、未知の水俣乗越遡行を選択したのか?

我々が、東鎌尾根を辿り、大天荘に3泊目を泊し、中房温泉下の町営駐車場に到着した時は、既に彼女達の車は、其処になかった。救助と同時に同伴者の2名も救助ヘリに同乗したらしい。