353 2010.10.23-24 ★★ 木曽駒ヶ岳・宝剣岳・茶臼山(2,652.7M)・行者岩 ★★

「冬季一部開放した西駒山荘に泊まりに行く!」 
 2008年4月初旬、無謀にも残雪多い木曽駒ケ岳に出かけた。 予想を超える雪中行軍に、多くの疑問点や気掛かりが残った。 と言うのも西駒山荘の冬季開放避難小屋を当てにして出掛けたのだが、入り口などが判らず持参したツェルトで一夜を凌いだのだった。
 5合目の大樽小屋までは、まずまずの時間で辿り付けたが、その後が過酷なラッセルに苦しめられ、胸突ノ頭から稜線に突き上げた時は、「来るんじゃなかった!」と、後悔の念で一杯だった。 何とか将棋頭山まで辿り付ければ冬季小屋でユックリ出来ると思っていたが、着いてみると雪に埋もれていて入口が分からなかった。 迫る夕闇に焦り、窮地に追い遣られる様に、ツェルト設営を必死で行った。 漸く、設営し終わり、雪を融かして夕食に有り付けたのが、20時30分頃だった。 何とか無事に幕営できると思うと苦笑いで口元が緩むが、ほんとに一夜を無事に過ごせるものかと心配も募った。 「なる様にしかならない!」と開き直って、今夜と翌日の好天を祈って、早々と寝入る事にした。 この時、西駒山荘の周りは、一面雪の斜面となっていて、油断すると何でもかんでも転がり落ちていく有様で、ユックリと用も足せなかった。 翌日は、雲一つ無い青空の中で、ポカポカと稜線漫歩を満喫でき、駒ケ岳を往復して幕営地まで無事辿れた。 帰りは、ラッセルに苦しめられた急登の雪面も楽々下山して行けた。 「馬返し」の場所で、安易にルートを辿った為に、無駄になったアルバイトに悪戦したが、何とか明るいうちに帰路に着けたのでホッとした。

 初めて辿ったルートで、思いの外苦戦させられ、心身ともに草臥れたので、無積雪期に一度再来したいとチャンスを伺っていた。 そんな折、2010年の10月に挑戦する機会に恵まれた。
 前回は、キャンプ場迄しか入れなかった道路も、桂小場の駐車場まで入れた。 4台の車が既に泊めてあり、内1台の単独者が身支度して出発しようとしていた。 広い駐車場で大型バスもユックリと旋回できるスペースがある。 初めのうちは、なだらかな斜面が捲き道となって歩きやすい。 途中の2箇所の水場も小休止して喉を潤した。 2箇所崖崩れで高捲きする処があったが、慎重に辿れば問題ない。 「横山」と案内のある分岐標があったが、指し示す「横山」の方向を見ると、藪になって登山道は無くなっていた。 前回は、雪に覆われていて、しっかりとした登山道が有るものと確信していたのだが、とんだ勘違いであった。 馬返しで稜線に出るが、夏道に何ら不安要素は無かった。 前回は、手前から強引に稜線に出て苦労した。 それ程、手前の捲き道が嫌らしいトラバース道に見え、迂回し稜線に直登したのだった。 程なく「白川口へ、奈良林林道」分岐があり、大樽山荘も近い。 大樽山荘の裏には水場が有るそうだが、見に行ってみたが笹薮が多そうだったので、確認するまで辿らずに帰ってきた。 この小屋は、小綺麗で水場もあり、良い小屋と思うが、余りに低い場所で、利用する機会は少ないように感じた。
 小屋から先は、勾配が急になり苦労させられた。 前回の雪のラッセルに苦しめられたのも、改めて頷いて辿った。 所々捲く様にトラバースする登山道は、雪のある時は直登している筈で、「あっちを行ったのかな?」「こっちから行くから、混乱するな!」とか、当時の雪道を思い浮かべながら、夏道を記憶するように登った。 胸突きの頭迄頑張ろうと休まずに登っていたが、その手前で疲れて休んでしまった。 雪が無くても急登で手強い登りだ! 漸く「胸突きノ頭」に着いて、前回、雪一面だった最後の直登部分を見てみたが、踏み跡は見えたが夏の時期辿る人は居ない様子で、藪が深くなっていた。
 夏道のトラバース道を辿って行者岩・茶臼岳分岐から、行者岩・茶臼岳を目指すため、戻るようにして稜線を行く事になる。 指呼の先に見える行者岩も、なかなか着かない。 茶臼岳と勘違いしていたので、未だ未だ先まで行かなくてはならないと判った時は、げっそりして疲れてしまった。 茶臼岳の山頂は、展望が良く将棋頭山や木曽駒ケ岳が綺麗に見える。 遠く御嶽山や乗鞍岳、奥穂、槍ヶ岳、笠ケ岳も見えて、疲れを癒してくれる。 前回、辿れずに心残りだった茶臼岳に登頂できて嬉しくなった。
 分岐まで戻って西駒山荘を目指した。 冬道では将棋頭山を辿るのだが、雪の無いこの時期は、夏道のトラバース道を辿る事にする。 分岐の標識には「分水嶺」とあり将棋頭山へのルートは「迷」と表示されていた。 夏道のトラバース道は、楽だったが積雪期は雪崩が発生すると確信した。 20分も掛からずに小屋に着いた。 前回ツェルトを設営した場所を思い出しながら、小屋への入り口を確認した。

 引き戸になった入り口を入ると6帖程の土間があり下駄箱の棚もある、奥に板の間の12帖程のスペースが有りテーブルと長椅子が置かれている。 窓があり室内は明るい。 窓の一箇所が鍵が取り外されて、雪が積もっている時の入り口になっていた。 外には梯子が架けられていた。 夏場の営業時は、畳が敷かれる様だったが、今は取り払われて、床板の儘になっていた。 他の部屋への間仕切りには、板が張られて区切られているが、隙間から覗く事が出来た。 隙間風も気になる。 窓は北向きになるので夕陽は入らずに寒々しい。 トイレは、50M程離れた場所に独立していて、手前の一箇所だけが使用できた。 古い建物だが不安は無い。 水場「天命水」は、小屋の直ぐ前にあって、少ないが枯れずに出ていて助かった。

小黒川渓谷キャンプ場
 
玉乃窪小屋 玉乃窪小屋 木曽殿山荘 頂上木曽小屋
山域名  年月日  標高 概要
353 木曽駒ヶ岳・宝剣岳・茶臼山・行者岩   2010.10.23-24 2,956.3 2008年4月には積雪期山行で苦しめられた!冬期開放小屋も利用してみたかった!
251 木曽駒ヶ岳(西駒ヶ岳)・将棋頭山   2008.04.05-06 2,956.0 気軽に出向いたのが間違いの始まり・・・。ギリギリ助かった!